いまは ヒキザクラの咲くのを待つ

雪の平林の里

山に雪がきて、山仕事は来年の3月まで休みに入る。

柴木が煮炊きに使われていた今から60年ほど前は、山が、今よりもずっと若々しかった。
平林の人たちは半農・半林業で暮らしていた。
雪の続く時節は、簑をつくり、縄をあみ、筵(むしろ)にする藁すべを打ったりして雪に閉ざされた冬をしのいでいた。筵を織るのは女の仕事だった。

種籾や種芋の仕舞ってある納屋は開けられることはなかった。

板倉づくりの穀物庫

吹雪く日は、人恋しくなるのか、男たちは三々五々示し合わせたように、どこかの炉端に集ってきた。話は春の作付の時期、村道の普請、用水の泥さらい、山からの木の切り出しなどから、山で出会った不思議な現象など、それから自慢話やヘマをやらかした話まで、まるで牛の反芻(はんすう)のように繰り返された。どこの家でも、出るのは自家製のほうじ茶とたくわんだけ。

囲炉裏の火に掛る鉄鍋 大根と里芋の煮物が入っている
家によって味が違うたくあん漬け

2月4日の立春を過ぎると、樹々は眠りから醒めて、新芽を膨らますために枝に水を送りはじめる。すると根が吸い上げる地下水の地熱で幹の周りに丸く土地が見え始める。

それは、樹の切り出しの時期が来たことを告げていた。春先の雪は凍れて作業はしやすい。ソリに積んではこび出すのも容易だ。

新芽の吹く頃は樹々がたっぷり水を吸って重くなるから、その前に伐採を済ますのだ。

春の兆し
杉の間伐材でつくった机

これらは、山と共に生きた山人の昔ばなしになってしまった。

「平林里山整備の会」が動き出すのは、大方の雪が消えて、ヒキザクラやマンサク、雪椿が咲きだすころになる。ヒキザクラとはコブシの別名である。森に春を告げる山桜を誘う花という意味が込められている。

森に春を告げるヒキザクラ



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