広葉樹の里山の整備は、密立した樹木の除伐、太陽を独り占めしている大樹の剪定、藤や葛などの蔓類の切除、立ち枯れた樹の伐採などからはじまる。それを短く刻んで、のり面の所々に積んで始末する。
〇厄介者はフジとクズ
これをやったときはこれでスッキリしたと喜ぶ。ところが山の蔓類はしぶとい。この積んである枝の中に生存の場所を見つけるのだ。狙いは、ここで土に還すことだったが読みは甘かった。
切られた藤や葛などは至るとことから芽吹く。そして積まれた枝や枯木の中からツルを伸ばしはじめる。下草刈りの時も根絶やしにできない。何年か経つと、片付けた枯木の山が、荒廃の凶源になってしまった。葛や藤は下草刈りの厄介者だ。
〇農業用竹炭づくりがヒント
この会のおおば会長は、手間のかからない竹炭づくりを実践している。そこで、この雑木林の整備の過程での発生材も同じような方法で資源化する方法はないだろうかと考えた。
開放型の炭焼き窯を造って、同じように農業用の木炭づくりができないか試してみた。
以下は、その写真メモである。
〇農業用木炭づくりの試作
炭焼き用の開放型の窯をひな壇の畑の畔に掘った。幅1.5メートル、高さ1.5メートルほどの半円筒形の窯だ。
実験を行ったのは2021年11月25日、三日つづきの雨で、当日の朝も雨がちらついていた。用意したのは太さ10~30センチほどの杉、栗、ナラの丸太30本と枝打ちした杉の枝4束、杉は枯木、栗と楢は今年の春に倒したもの。生木と同じ状態、杉の枝も積んであったので生木と同じような状態、葉は雨にずぶ濡れの状態だった。
9時30分、乾燥した杉材を使って着火。
9時40分 火に勢いが出たところで杉枝を次々と投入。
窯が温まるまでの時間を利用して、丸太は、長さ30~40センチに切断、15センチ以上の丸太は半割にする。薪に換算して200本ほど。
10時30分 細い丸太の投入開始、炎が見えなくなってもポンポン入れていく。
竹炭づくりのときのように炎がたち昇ることはない。囲炉裏のようなゆらゆらした燃え方だから、炎の見え具合を見ながら投入を続けるが、付きっ切りで火の番をしなくてもいい。
雨が激しくなってきたのでこのまま放置し、翌朝10時半に見に行った。すこし燻ぶっていた。灰の山を崩しながら水をかけ熱を取る。湯気がなくなるのを見届けて袋に詰めた。
〇学んだこと
① 農業用の竹炭にしろ、木炭にしろ、畑のビタミン剤のようなものだ。畑を中和し活性化させる効果がある。伝統的な農法にこだわる方には、配布するととても喜ばれる。潜在的な需要が高いことが判った。
② 野焼きは、防火対策に留意しなければならない。とくに炎の見えにくい春は避けるべきだ。また消火用水を手元に準備するのは必須である。
③ これまで放置されてきた竹林や広葉樹林に人の手が入ると、間伐や除伐、剪定などによって大量の発生材が出る。農作用竹炭、木炭づくりは、カーボンニュートラルの視点からも、森林資源の有効活用の視点からもSDGs(持続可能な開発目標)になると考える。
野焼きは合理的な伝統の技
野焼きというと古臭いイメージがあるが、伝統的な農業の技法である。現地で野焼きすることによって、容量も重量も五分の一以下に軽減することができ、しかも作業要員の人件費ほどのしかかからない合理的な技法でもある。
全国で里山再生に取り組んでいる仲間と共有し、磨き上げていきたい技でもある。
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