〇自然は子どもの感受性を育む肥沃な壌土
春が来て畑のトウモロコシは青々と育っていました。ですが広い畑には鳥の声はしなかったのです。静かな春でした。これを見てレーチェル・カーソン博士は本を書きました。1964年のことです。農薬による環境破壊を告発した『沈黙の春』という本でした。
彼女は、ときどき甥のロジャーと海岸近くの針葉樹の森にある山荘で過ごしました。そのときの気づきをエッセー集『センス・オブ・ワンダー』に著しました。そこに、好きな一節があるので紹介します。
多くの親は、「自分の子どもに自然のことを教えるなんて、どうしたらいいでしょう。私は、そこにいる鳥の名前すら知らないのに!」と嘆きの声を上げるのです。
わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵をうみだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子を育む肥沃な壌土です。
美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れに、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次は、その対象になるものについて もっと知りたいと思うようになります。そのようにして見つけた知識はしっかりと身につきます。
「センス・オブ・ワンダー」 より
〇多様ないのちが育つ平林の森
子どもたちにとって、自然は驚きと発見の宝庫です。私たちは、来年から子どもたちを自然の不思議な世界に誘うことを計画しています。そこには目をみはる新鮮な発見がたくさんあるでしょう。
そこで、晩秋から初冬にかけて平林の森で見つけた草や木の実を紹介していこうと思いますが、今回は草の編です。
[草の編]
【カラスウリ】
ちょうど旧盆のころレースの飾りのついた花が咲きます。ただし、この花を見た人はあまりいません。暗くなってから花開き、夜明け前には、ねじれるように萎んでしまうからです。11月ごろには、ちいさな赤や黄色の枕のような実を付けています。
【ヘクソカズラ】
カズラはツル状の植物を指します。すると、ただ「屁」と「糞」とをくっつけただけの名前です。誰でしょうか?こんな可哀そうな名前を付けたのは。
しかし、春には小さいけれどきれいな花が咲きます。そして秋には金色の珠をつけます。
【マムシグサ】
ヘビが鎌首を開けたような花ですが、秋には真っ赤なトウモロコシのような実を付けます。野鳥は、赤の識別能力がとびぬけて高いのですが、秋の草木の実が赤くなるのは、小鳥の目に留まることを狙っているようです。
[木の編]に続きます。
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