野ぜりをいただく

3月になって あらかたの雪が消えると、湧き水の流れ込むむかしの田んぼの野ゼリは摘みころをむかえます。

春の山里のごちそうは、なんといっても山菜の「にがみ」と「かおり」です。

畑の野菜と違って山菜にはほのかな にがみがあります。このにがみは、まだ葉がやわらかなときに、虫たちから身を守る方法なのです。このにがみこそが、山の神からの贈り物です。山菜は生薬でもあります。山菜料理はおいしいばかりでなく、薬膳料理でもあります。

野セリは、山からの湧き水のながれる小川の淵や、その清水の流れ込み、しばらくつかわれていない田んぼで摘みます。そのときはできるだけ根っこも残すようにします。

販売されているセリは、太陽を遮蔽しながら育てられているから、若麦のようにスラっとしている。ところが、天然のセリは茎も太く、できるだけ太陽の光を浴びるように葉を、傘を広げて逆さまに置いたように広げています。

食べるのは、おひたしやゴマ和えがよく知られた食べ方だが、私はパスタに加えて、かおりと歯ごたえを楽みます。セリをサッと湯通ししておいて、茹でたマスタをボールに移し、セリを加えて市販のバジルソースで和え、皿に盛りつけてからベーコンをトッピングします。簡単に作れて、うまいですよ。




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