むかしは、水の湧き出る谷間にひな壇の田んぼが造られていった。山のミネラル分を多く含んだ水で育つコメはうまい。しかし、谷間の稲づくりには弱点があった、日照時間が短く、水温が低いので収量が少なく刈り取った稲束を担ぎ出すのも大変だった。
だから、いつの間にか稲は造られなくなった。そこにヒエやカヤツリソウ、ミゾソバなどの野草が混在し密集するようになった。
その、今は原野にもどってしまった田んぼの草を刈り地表に陽射しが届くようにすることを試みた。田んぼのころの草の種が眠っていれば目覚めさせたいからだ。と、言っても夏草が亀の子タワシのように密生し、背丈が1メートルほどになり、しかもそれが倒れ込んでいるのだから、始末がわるい。
ツムラの笹刈刃の刃先が鋭角のなるように研ぎ出し、刈払機の飛散防止ガードも取り外した。チップソーでは、細いイグサ状態のようになった草を刈るには、腕に負担がかかるし、よく切れない。刃を鋭角にして、鎌で刈り取るようにした。また、ガードがあるとそこに刈り払った草がまとわりつき、ガードから回転刃まで草が詰まってしまうことを体験したから、取り外した。
そして、背丈の伸びた草を上から三段に分けて輪切りにするように刈り払っていくコツを覚えて、ようやく、スムーズな作業ができるようになった。また、こうした原野には、水が削り掘った深い溝が隠れているところがある。足場にする場所の刈り取りは、土が見えるところまで刈り取る手間が必要なことも学んだ。夏に人手の入っていない原野の草刈りをする場合には、延べ竿などで、草を叩いてアシナガバチやスズメバチの巣がないことを確認することを忘れてはならない。
未知への挑戦は、始まったばかりだ。
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