春に杉の枝打ちに行く山道で、落ちたヤマガラの巣を拾った。巣の材料は、松葉、竹の葉、苔、羽毛などの天然の素材ばかりだった。いかに雛の健康に配慮した巣であるかは、見ればすぐに分かる。
いかに小鳥たちが、子育てる巣の安全に気くばりしているかを人の子に説明するために持ち帰った。それを保育園や幼稚園の子どもたちに見せた。みんな目が輝き、匂いをかいたり、さわったりした。
持ち主が誰かは知らないが、杉の子を植えたまま捨てられてしまった、みすぼらしい杉林があった。荒れ放題で人が通り抜けることが難しい。風も通らずに空気も淀んでいた。サツマイモや里芋を食い荒らし、稲田に入って泥んこ遊びをする猪の巣窟になっていた。
その放置林に入り長柄のチェンソーで枯れ枝を切り落とした。林に風が通るようになった。すぐに、風に乗って小鳥たちが飛び回るようになった。ときどき人が手を貸すこともあるけど、これから林は自分で姿を整え始めるだろう。
ここが、小鳥たちの子育ての場になることも願っている。
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