森の仲間と ともにくらす

去年の7月17日の朝のことだった。自室で書き物をしていて、誰かに見られているような気がして目を上げた。カモシカが私を見下ろしていた。家から一段高くなった処が畑になっているが、その畔に立って、じっと私を見ていた。

よく見ると、前足の膝から下が欠けていた。たぶんイノシシ狩り用の罠から足を切って逃げてきたのだろう。ニホンカモシカは特別天然記念物だから猟をすることができないが、まれにククリ罠にかかるのがいるようだ。

カモシカと目線が合うと、不思議な行動をとった。畑から庭への坂道を、ビッコを引きながらゆっくりと下りた。そして、すく目の前の庭で小さく円を描くように一回りし、今度は、勢いよく坂をはしり上った。カメラを取り出す時間は十分にあった。そして、また、畑の畔に立ち、私を見つめていた。

しばらく視線の合う時間がつづいた。そして、首をたてに振ると、向きをかえてトコトコと森の中に入っていった。目が涼やかできれいだった。何かを伝えに来たと五感がはたらいた。か、穏やかな顔からして、人への恨みつらみではなさそうだ。

山好きの仲間と里山の手入れをするようになってから、カモシカがちょくちょく姿を見せるようになった。この辺を棲み家としているのは三頭いる。おとなしく、畑の作物に手をだすこともしない。山の間伐をして、落葉に光がとどき、風が抜けるようにした。山野草が育ち、切り株から伸びる小枝の新芽も食べやすくなった。

出会いから一年が過ぎて、そのお礼に来たのかも知れないなぁ、と思えるようになった。

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